お茶の活動

2025 / 04 / 30  22:45

「茶じいじのひとり言」~岐路~

「茶じいじのひとり言」~岐路~

こんにちは。

茶じいじです。

 

新茶が始まり静岡にしばらく来ておる。

掛川、牧之原、御前崎と深蒸し茶の生産地をまわり、静岡市内へ。

安倍川、藁科川沿いと浅蒸し茶の生産地をまわる。

天候の影響からか、一部の茶園で昨年の秋整枝後に

一番茶で萌芽するべき芽が出てしまう

「再萌芽」が起きたと聞いておったが、

適度な降雨もあり、順調な生育状況を確認できた。

一安心じゃ。

鹿児島からも日本で一番早い種子島から始まり、

頴娃、知覧のさえみどり、ゆたかみどりが順々に届いている。

 

新茶は良い感じだが

茶業の生産現場からは暗い話が聞こえてくる。

全国の茶産地が同じかは分からないが、

静岡で儂の耳に入った話をする。

 

「今年の新茶を揉んだらやめるよ」

 

高齢となり後継者のいない生産者は廃業するか、

やっても生葉を売るだけに。

それすらも何年続けられるか不透明だという。

高齢なのは生産者だけではない。

樹齢が30年以上という畑がまあまあある。

改植しようにも現在の低迷する茶価に対して、

肥料、重油、農業資材、電気代と生産コストが高騰する中では

とても踏み切れないとの事じゃ。

共同茶工場の経営も厳しいと聞く。

レモンやトマト、メキャベツといった高収益作物への転換や

メガソーラに畑を貸し出すなんてことも起きている。

 

鹿児島では煎茶から碾茶への転換が大きく進んでいる。

抹茶が大人気の今、当然の事であろう。

煎茶の相場にどこまで影響するのか注視する。

摘採日が数日と限られる煎茶に比べ、余裕がある碾茶の方が

作業計画は立てやすい事だろう。

碾茶製造ラインを今から建てるとなると補助金の援助を受けても

半分は億単位の自費になる。

1971年に紅茶輸入が自由化された時の話まで出た。

10年後、果たして今と同じだけの需要があるのか。

中国では近い将来100万トンの碾茶生産量を目指しているという。

タイやベトナムでも生産されている。

何事もブームは長く続かない。

突然、「物事が変わるのは一瞬だ!」

プロレスラーYOSHI-HASHI選手がリング上で

叫んでいたのを思い出す。

 

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米の価格が下がらない。

生産量を調整し米価を維持する政策に限界がきているのだろう。

気が付けば「日常茶飯事」の茶と米が無くなるか、

あっても高嶺の花になる日が来てしまわないだろうか。

昨日案内された蕎麦屋は大変美味しかった。

明日もう一度頂くために、

帰路にはつかず、この際もう1泊すべきではないか。

迷いながら土産となる田子の月を買っている。

茶業も儂も岐路に立っている。

悩んでいる時間はもうない。

 

 

追記

ブログ内の表現は全て茶じいじの主観であり、

日本茶インストラクター協会及び、

日本茶インストラクター協会神奈川県支部とは一切関係ありません。

 

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